『れいこいるか』が「映画芸術」2020年日本映画ベストワンに選出されたいまおかしんじ監督最新作は、高校生の男女の青春物語。かぐや姫の名曲「神田川」で知られる神田川を舞台に、青春の甘酸っぱさを描きながらも、いまおか監督ならではの不思議な空気感漂う映像が観る者を温かく包み込む。全編の85%以上が屋外ロケーションによる、東京都杉並区からお隣の武蔵野市にある井の頭恩賜公園までの小さな旅を描いた異色のロードムービー。
主演の舞と智樹を演じるのは、2021年の東京国際映画祭や上海国際映画祭において世界から高い評価を受けた『スパゲティコード・ラブ』(21年)の上大迫祐希、2020年の各映画賞で高い評価を受けた『アルプススタンドのはしの方』(20年)の平井亜門。近作の熱演が記憶に新しいフレッシュな二人の新たな魅力に注目だ!
そのほか、『れいこいるか』で強烈な印象を残したいまおか組常連の佐藤宏、21年に人気ダンス&ボーカルユニット「スクランブルガム」を脱退してソロ活動中の石綿宏司、杉本彩主演の朗読劇『それでも、愛』(19年)で出演のみならず脚本も手掛けた逢澤みちるなど、個性的なメンバーが若い二人を盛り立てる。
主題歌を担当したのは2021年結成のガールズアイドルユニットD☆SHOUT。『流星』は本作品の持つ世界観・ ストーリーを元に歌詞として表現させ、ストリングス・ピアノの旋律は聞くどの年代にもノスタルジーな空間へと誘い、グループのコンセプトである「ロック」「エモーショナル」を掛け合わせた叙情的な楽曲となっている。なお、映画の題名に「神田川」が使用されるのは2021年に紫綬褒章を受章した黒沢清監督のデビュー作『神田川淫乱戦争』(1983年)以来38年ぶりとなる。
今回、9月11日(日)、シネマスコーレにいまおかしんじ 監督が登壇!上映後の舞台挨拶で撮影エピソードを語った。
<NOW EDITING>
『神田川のふたり』
2022年9月10日(土)よりシネマスコーレにてROADSHOW
STORY
高校2年生の舞と智樹は中学時代のクラスメイトの葬儀の帰り、久しぶりに二人きりで神田川沿いを自転車を押しながら歩いていた。二人は互いに気があったものの、思いを伝えられずに別々の高校へ進学していたが、その気持ちはまだ続いているようだ。東京都杉並区永福町の幸福橋から高井戸方面へ神田川沿いを上る二人は、両手首を縄で縛られて倒れている謎の男に遭遇する。そのことがきっかけで下高井戸八幡神社へ行くことになるが、そこで亡きクラスメイトが「みお」という女性との恋愛成就を願った絵馬を発見する。友の想いを伝えるために井の頭恩賜公園のボート乗り場で働くみおに会うべく、神田川の源流へと向かう二人。みおの気に入りのぬいぐるみと、クラスメイトが告白には欠かせないと言っていたモンブランをゲットし、なんとか日没前に公園に到着する。だが、その日はみおが非番で会うことができず、翌日に日を改めることに。すっかり日も暮れて賑やかさを増す吉祥寺の街を歩く二人だったが、些細なことで口論となり、それぞれが夜の街に消えていく。バッタリ会った高校の同級生と路上で話し込む智樹の前を、ナンパ男と舞が通りかかり……。
DATA
●監督:いまおかしんじ
●出演:上大迫祐希、平井亜門、椎名糸、岡本莉瑚、橋本達、内藤光佑、有永結咲、美波愛子、たきみずなお、村田美輪子、赤山健太、稲泉洋子、黒崎雅、丈幻、狩野博文、佐藤宏、綿宏司、逢澤みちる
●配給:アイエス・フィールド
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