Quantcast
Channel: C2[シーツー]BLOG
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3654

『鯨のレストラン』 八木景子監督インタビュー

$
0
0

 

 

▼映画ライター=山口雅。

 

『鯨のレストラン』八木景子監督インタビュー

 

 『ビハインド・オブ・ザ・コーブ』の八木景子監督による最新作『鯨のレストラン』は、鯨を「食」と「科学」の観点から追ったドキュメンタリー。八木景子監督に、映画制作の経緯や裏話についてお話いただきました。

 

 

「神様が導いてくれたかのような」展開に

 

Q:「鯨」をテーマにした2作目ですが、鯨との出会いを教えてください。

 

八木景子監督(以下、八木):まさか私も鯨のことをやるとは思ってなかったんです。一言でいうと、神様に導かれたといっても過言ではない気がします。

 

Q:1作目『ビハインド・オブ・ザ・コーブ』で初めてカメラを持ったとのことですね。

 

八木:勤めていたパラマウント・ピクチャーズという配給会社を退社し、イタリア旅行から帰ってきた日が3.11でした。転職活動もできず、石巻にボランティアに行きました。当時、石巻が日本最大の捕鯨基地だとは知らず、石巻復興を支える骨太の産業はないのかなと考えていたんです。2014年、日本が捕鯨についてオーストラリアに敗訴したという報道を見て調べ始めたのが始まりです。

ただの素人アマチュアカメラマンで、オートフォーカスで花火を撮ってもモヤモヤとしか撮れず、本当に映画を作れるのかと周りから言われましたが、まさかNetflixの世界配信まで行くとは思っていませんでした。そして配信開始と同時に世界中から感謝のメールが届き、こんな劇的なことがあるんだと。8年経っても消化し切れないことがいっぱい起きました。

 

 

科学データと食の魅力を盛り込んだ2作目

 

Q:活動を続ける熱意の源は?

 

八木:問題は複雑で、もう鯨産業は不要なのではと言いたくなる状況ですが、先人との約束を果たしたい気持ちと、小さい頃に亡くした母親の存在が心にあります。苦しめられている鯨の店を救わなければという思いで、前作でできなかった日本が蓄積した科学データの発信と、食の魅力を盛り込みました。

 

Q:映画に登場する鯨料理店の主人の人物像も面白いですね。

 

八木:映画を見た方も、店のお客さんたちも、不思議なくらい大将に魅了されていて(笑)。あの魅力はどこから湧いてくるのか。自然体で人間性が出ているんでしょうね。経営者とシェフが同じという鯨の店は多くないんですが、ピタリとはまりました。

 

 

映画は人生を変える力があると信じる

 

Q:2作目というプレッシャーはありましたか?

 

八木:ビギニング・ラックとよくいいますが、1作目は私にしか作れない映画だったと思います。一人でカメラを回すのでなく、手伝ってもらったことが前作との大きな違いです。前作にないものを取り入れてバージョンアップさせようと思いました。

 

Q:強い思いを伝える手段は、やはり映画なのですね。

 

八木:昔から、映画は政治より力があると思っています。人の人生を変える力があるのは映画だと思います。国内の問題が思いのほか根深く、問題は理不尽で複雑ですが、でもまだやれることはあると思っています。

 

 

INTERVIEW&TEXT=山口雅​​​​​​​

 

『鯨のレストラン』​​​​​​​
2023年11月3日(金・祝)よりミッドランドスクエア シネマにてROADSHOW
2023年12月1日(金)より刈谷日劇にてROADSHOW
 

公式サイト

 

DATA

●監督:八木景子 

●撮影:猪本雅三 

●録音:伊藤 裕規 

●編集:浜口文幸記念スタジオ 

●主な出演者: 谷光男、ユージン・ラポワント、ジュヌビエーブ・デスポーテス、加藤秀弘、八木信行、サンドラ・ヘフェリン、冨田かおり、隅田ゆう子、樋口真嗣

 

​​​​​​​

Whale Restaurant(C)2023YAGI Film Inc.

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 3654

Trending Articles