西島秀俊主演、村上春樹の短編を映画化した濱口竜介監督最新作『ドライブ・マイ・カー』が、現地2月8日(火)に行われた第94回アカデミー賞®ノミネーション発表にて、本作が作品賞、監督賞、脚色賞、国際⻑編映画賞の全4部門にノミネート!作品賞、脚色賞に日本映画がノミネートされるのは、1928年に開催された同賞史上初!!!!日本映画史に新たな歴史が刻まれた。 さらに、監督賞ノミネートは1986年第58回の黑澤明監督(『乱』)以来、国際⻑編映画賞(旧称:外国語映画賞)へのノミネートは、2019年第91回アカデミー賞での是枝裕和監督作『万引き家族』以来。受賞すれば2009年第81回開催時に同賞を受賞した滝田洋二郎監督の『おくりびと』以来の出来事となる。また、日本映画が複数の部門にノミネートされるのは、1986年第58回の黒澤明監督作『乱』以来のこととなる。
ノミネートを受け、濱口監督はベルリン国際映画祭参加の為、渡独中の濱口竜介監督が
本日2月9日(水)15時よりオンラインにて会見を実施し、「率直に大変驚いています。」と現在の心境を語った。
<濱口竜介監督>
ベルリン国際映画祭参加のために乗っていた飛行機を降りたら、米アカデミー賞に4部門ノミネートされていて、心の底から驚きました。作品賞、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞へのノミネート、信じられないような気持ちで未だにいます。ただ、確実に言えるのは原作者・村上春樹さんの物語が持つ普遍性がこの評価の根底にはある、ということです。心から愛する誰かを失ったとしても人生は続いていく。その人生は苛酷だけれど、ほんのひとつまみの希望もないわけではありません。ただ、この物語世界を身体化し、具現化する俳優たちの負担は計り知れないものがあったと思います。西島秀俊さんをはじめとする役者の皆さんの誠実な役への取り組みにも、この場を借りて敬意と感謝を表したいと思います。このノミネートがきっかけで俳優陣の素晴らしい演技、そしてそれを支えたスタッフたちの仕事がより多くの観客の目にふれることを願っています。
また、本会見に先駆けて濱口竜介監督と共同脚本を手掛けた大江崇允氏、プロデューサーである山本晃久氏からもコメントが到着した。
<大江崇允>一番に思い出したのは、濱口竜介監督、山本晃久プロデューサーと初めて三人で飲んだ夜でした。その時、おそらく今日を想像した人はいませんでした。まさかこんなに遠くまで縁が繋がるものかと、映画の持つ力に本当に驚きました。この賞も、これまで同様スタッフ全員のものだと思います。そのスタッフ一人一人と繋がれたことが僕の一番の幸運です。
<山本晃久>我々映画人の多くが、子供の頃に初めて観たのはアメリカの映画だと答えるでしょう。わたしもその一人でした。物語はドラマチックで、映像や音は迫力と躍動感に満ち、俳優たちはみな魅力的でした。世界中に影響を及ぼした映画史を持つアメリカは、まさに映画の王国です。そんな国の最高峰である米国アカデミー賞でノミネーションを果たせたことは、まさに夢のような出来事としか言いようがありません。濱口竜介監督、そして一緒に映画をつくりあげた素晴らしい仲間たちと共に、『ドライブ・マイ・カー』を選んでくださったアカデミー会員の皆さんへ、心から感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。本作を選んでくださり、本当にありがとうございました。
本作は、これまでに第74回カンヌ国際映画祭にて日本映画初の脚本賞を含む4冠を受賞したのち、ゴールデング ローブ賞非英語映画賞、ニューヨーク映画批評家協会賞作品賞、ロサンゼルス映画批 評家協会賞作品賞・脚本賞・監督賞次点、ボストン映画批評家協会賞にて西島秀俊の最優秀男優賞を含む4冠 、米批評家協会賞では作品賞とアジア初・主演男優賞を含む主要4部門での受賞など、世界中で既に50以上の賞を受賞している。また、国内外のメディアが選ぶ、2021年ベスト作品でも次々上位にランクイン。主演の西島秀俊は〈New York Times〉、〈VanityFair〉、〈SlantMagazine〉にてベストパフォーマーのひとりに選出されており、〈TheFilmStage〉では1位を獲得。共演の三浦透子も同じ〈TheFilmStage〉でベストパフォーマー12位に選ばれているほか、先日発表されたイギリス版VOGUEでは注目の25人のひとりに選出されるなど、本作キャストにも世界中から注目が集まっている。さらに、『ドライブ・マイ・カー』旋風はアメリカに留まらず、イギリスでは、第42回ロンドン映画批評家協会賞でも、日本映画として初めての脚本賞受賞、さらに外国語映画賞は周防正行監督の『Shall we ダンス?』 (96年)以来のダブル受賞を果たした。そして、現地3日(木)にノミネーションが発表された英国アカデミー 賞(BAFTA賞)では、監督賞、脚色賞、非英語映画賞と3部門にノミネートされている(授賞式は現地時間3月13日予定)。また、韓国では去年12月23日の上映以来、観客動員数5万人を突破(1/31時点)するなど世界各国から高い注目を集めている。国内でも、第34回日刊スポーツ映画大賞で作品賞と主演男優賞、第76回毎日映画コンクールで日本映画大賞 (作品賞)と監督賞、第95回キネマ旬報ベスト・テンではキネマ旬報ベスト・テン第1位(日本映画作品賞)、 読者選出日本映画監督賞、助演女優賞、日本映画脚本賞、日本映画監督賞と全5冠を獲得。8月の公開から6か月近く各地でロングラン上映が続く盛況ぶり。
STORY
俳優であり演出家の家福は、愛する妻と満ち足りた日々を送っていた。しかし、妻は秘密を残して突然この世からいなくなってしまう。2年後、演劇祭に愛車で向かった家福は、ある過去をもつ寡黙な専属ドライバーのみさきと出会う。行き場のない喪失を抱えて生きる家福は、みさきと過 ごすなかであることに気づかされていく――。
DATA
●監督・脚本:濱口竜介
●原作:村上春樹
●出演: 西島秀俊 、三浦透子 、霧島れいか 、パク・ユリム 、ジン・デヨン 、ソニア・ユアン 、アン・フィテ 、ペリー・ディゾン 、安部聡子 、岡田将生…ほか
●配給:ビターズ・エンド
PG-12
(C)2021 『ドライブ・マイ・カー』製作委員会