堤幸彦監督や大根仁監督を擁するオフィスクレッシェンドが主催する「MI-CAN 未完成映画予告編映画大賞」は、未だ存在しない映画の予告編だけを制作し、グランプリ受賞者には映画化の権利が与えられるという企画。第3回大会(2018年)に出品した「実りゆく長野」は、芸能事務所タイタンのマネージャー八木順一朗が企画・監督し、若手漫才コンビ“まんじゅう大帝国”竹内一希が主演を務める異色作。惜しくもグランプリを逃したものの、予告編は“堤幸彦賞”と“MI-CAN男優賞”を見事受賞。その後、主演・竹内一希×八木順一朗監督の再タッグで映画撮影が長野県で開始され、田中要次、三浦貴大、小野真弓、山本學など日本映画を代表する俳優陣も集結し、さらに島田秀平や爆笑問題が本人役として特別出演して、可笑しくも深みある人間模様が楽しめる作品として映画『実りゆく』は完成した。2020年10月2日(金)より長野県先行公開、そして10月9日(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開。名古屋地区ではTOHOシネマズ名古屋ベイシティにて上映する。
今回、9月16日(水)、東京の神楽座で『実りゆく』完成披露を開催!
9月16日(水)、東京新聞主催による完成披露上映会が開催され、八木順一朗監督が登壇、まんじゅう大帝国(竹内一希さん・田中永真さん)、主題歌を務めるGLIM SPANKY(松尾レミさん・亀本寛貴さん)がリモート出演し、同作の見どころや撮影時のエピソードを語り合った。
長野県下伊那郡のりんご農家を舞台にした、お笑い芸人を目指す息子と父親との物語を描いた同作で初めてメガホンをとった八木監督は、「『MI-CAN 未完成映画予告編映画大賞』ではグランプリを獲ることが出来なかったので、本来なら映画になることはなかった作品ですが、スタッフ、キャスト、GLIM SPANKYさん、たくさんの人の手に支えられて、やっと完成しました。こうして一般のお客さんに観ていただけることは想像していなかったので、今日やっと映画が誕生したという幸せな気持ちです」と思いを語った。
初主演を務めた竹内さんは、「いよいよ完成披露上映会ということで楽しみにしておりました。本当でしたら一人一人にハグしてお礼を申し上げたいところですが、こんなご時世ですのでリモートで失礼します」と冗談めかしてあいさつ。「MI-CAN男優賞」受賞に対する祝福の拍手をもらうと、受賞について「本当にいいんですか?でも、そういうなら貰っちゃいますよという軽い感じでした」と当時の素直な心境を打ち明け、会場の笑いを誘った。
予告編映画に続き、長編作でもオファーを受けたことについては、「八木監督からちゃんとしたオファーはいただいていなくて、フワッと決まりました。僕たちのマネージャーでもある監督なので、スケジュール管理はバッチリできておりまして、ビシッとスケジュールがとられていたので、これは主演なんだとわかりました」と裏事情も暴露。
竹内さんとともに銀幕デビューを果たした田中さんも、「“なんで俺が主役じゃないんだ”という気持ちがまだあるので、八木監督にはどんどん嫌がらせをしていこうと思います(笑)」と笑いながら恨み節をきかせる一方、「初めての長編の演技のお仕事で勝手がわからなかったり、上手くいかなかったりしましたが、八木マネージャーだからできたのかなと思っています」と感謝の意も示した。
そんな二人の起用に関して、八木監督は「普段、マネージャーとして仕事をしている中、芝居が上手で、表現も豊かで非常に光るものがあり、いつか形にしたいと思っていたので、二人しかいないと思ってお願いしました」と説明していた。
主題歌「By Myself Again」を書き下ろしたのは、長野県下伊那郡出身のGLIM SPANKY。八木監督からの熱いオファーを受け、脚本を読んで作品作りに取り組まれたそうで、松尾さんは「わたしたちが育った町が舞台なので、地元の空気感、田舎から都会に出ていく気持ち、人との別れ、自分の目標、何かを手にするには何かを捨てなければいけないこと、そういうことをフォーキーな温かいサウンドに乗せて表現できるかにこだわりました」と話し、「それが映画とマッチして最高のコラボレーションができたと思います」と自信をのぞかせた。
亀本さんは「町の情景や登場人物の気持が想像しやすかったです。地元の人や親の考えもわかるし、逆に東京で何かを成し遂げたいという若者の気持ちもわかるし、わかりすぎるところが逆に怖いくらいの感じでした」と打ち明け、「ナチュラルな気持ちで、エンディングでどんな音楽が鳴っていたらいいのかな…と考えていたら自然にボロボロ出てきました」と制作時を振り返った。
この日、まんじゅう大帝国の二人と監督は、全国のローソン、HMV&BOOKS店にて現在予約受付中の『実りゆく』オリジナルTシャツを着て登壇。描かれている似顔絵はまんじゅう大帝国と日本エレキテル連合が描いたもので、田中さんは「画が得意ではないのですが、気持ちを込めれば見てもらえる画になると思い、断食と滝行と座禅を済ませ、綺麗な気持ちで書かせていただきました。絵にもそれが出ていると思います」とまんざらでもない様子を見せました、竹内さんは「あっさり描けました。僕は適当に描ける顔なんだとがっかりしました」と肩を落として会場の笑いをさらった。
「夢を実らせる」がテーマの本作にちなみ、「いま、実らせたい夢」は何ですか?と質問されると、竹内さんは「今日は主演俳優としてお邪魔していますが、本来は漫才をやっておりますので、そっちの方でぜひ売れたいと思っています」と明かし、「この映画を機に、八木監督よりも早く売れなければいけない!マネージャーにだけは負けたくない」と決意表明。すると田中さんも「笑いで上手くいくのも嬉しいですし、この流れで俳優として上手くいくのもうれしいです。どっちも実らせたいので、リンゴというよりサクランボをイメージしています」と話して観客を笑わせた。
八木監督は「マネージャーとして監督として二人を売っていきたいです。」と約束すると、「小学校からの夢だった映画監督になることを形にしていただいたので、まずは多くの方に作品を届けて、携わっていただけた方々に恩返しできればと思います」と力を込めた。
最後にメッセージを求められると、竹内さんは軽トラックを運転するシーンに触れ、「軽トラックを運転するのは初めてで、撮影中はエントスを繰り返していました。内心はドキドキでやっています」と告白。田中さんも竹内と仲良しでケンカをしたことがないことを挙げ、「喧嘩シーンはどうやっていいかわわからず苦労したので、そちらに注目してください」とアピールした。
八木監督は「今、コロナの時代になって人と人との距離が離れていることがいいとされていますが、映画の中では自分の大切な人に大切なことを伝えることがいかに美しくて素晴らしいことかを伝えていけたらと思っています。こんな時代だからこそ、この映画を観て、少しでも明るい気持ちになって、明日から頑張ろうと思っていただければうれしいです」と思いを込めた。
STORY
長野県のりんご農家の後取りとして生まれた実(みのる)。母親の死後、父親と2人で農園を切り盛りする実は、週末になると東京へと通い、お笑いライブに出演していた。りんごに背き、夢に突き進む実には、「母親の死後、笑わなくなった父親を笑顔にしたい」という強烈な思いがあった。やがて訪れる、運命の日。人生をかけたステージで、実は夢を実らせることができるのか?
DATA
出演:竹内一希(まんじゅう大帝国) 田中要次
田中永真(まんじゅう大帝国) 橋本小雪(日本エレキテル連合) 鉢嶺杏奈
島田秀平 小野真弓 三浦貴大
爆笑問題(特別出演)
山本學
監督・脚本:八木順一朗
エグゼクティブプロデューサー:太田光代
プロデューサー:佐藤満 ラインプロデューサー:今関直哉 音楽:榊原大 監督補:山口義高
撮影:伊丸岡創 照明:藤井聡史 録音:齋藤泰陽
助監督:山下久義 美術:遠藤雄一郎 へアメイク:中田愛美 スタイリスト:高田彰久
松川町コーディネーター:松尾寿司
制作プロダクション:株式会社geek sight
協賛:長野県下伊那郡松川町、JA長野県、株式会社モデスト
後援:長野県、長野市、豊丘村、信濃毎日新聞社、SBC信越放送、abn長野朝日放送
配給:彩プロ 宣伝:とこしえ 2020年
(C)「実りゆく」製作委員会