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「映画の力」EPISODE:尾鍋栄里子(映画ライター)「忘れがたい思い出をくれる場所」

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「映画の力」EPISODE:
映画館は大切な〝旅の仲間”と忘れがたい思い出をくれる場所

▶︎「映画の力」エピソードまとめ→

 

 配信サービスが充実してきたことで、映画は好きだけどわざわざ映画館で観なくてもいいという人もいるそう。今回のコロナでそう考える人はさらに増えたかもしれない。もちろん映画の楽しみ方は人それぞれ。自分に合った方法で自由に観るのがいい。でも個人的にはやっぱり映画館で観たいと思っている。自粛期間中に今まで観てきた映画を振り返る機会があったけど、なぜか思い出すのは映画館で観たもの。それも誰かと一緒に見た映画ばかりだった。高校時代に名画座やミニシアターを共に初体験した同級生と観た『ティファニーで朝食を』。専門学校の友人と主題歌にシビれた『イージー☆ライダー』。映画館のバイト仲間のうち1人が途中で気分が悪くなった『レザボア・ドックス』。

 

 映画の詳細は忘れてしまっても、誰とどこで観たのかははっきり覚えている。わざわざスケジュールを調整して一緒に映画館へ行き、暗闇の中で今生きている現実とは別の世界に没頭する。その2時間がどんなにつまらなくても素晴らしくても、共有した相手とは妙な連帯感が生まれるから不思議だ。特に映画は異国の人の人生だったり、悲劇的な歴史だったり、宇宙の彼方だったり、普通なら行けない世界へ行けるから。共に旅した相手はかけがえのない〝旅の仲間”になるのかもしれない。

 

 そんな私の〝旅の仲間”に今年、両親が加わった。母には幼い頃に何度か映画館に連れて行ってもらったけれどほとんど記憶はなく、父とは30年以上前に一度行ったきり。親子3人揃って映画館に行くなんて初めてだった。その記念すべき映画は『カツベン!』。寝ちゃうかも、と言っていた高齢の両親も久しぶりの映画館に大興奮。寝る暇もないほど楽しんだようで、帰りの車では映画の話で盛り上がった。映画館はいい。映画を観るスタイルがどんなに変わったとしても、映画を通して大切な仲間と忘れがたい思い出を作ってくれるのはやっぱり映画館なのだ。

 

▶︎「映画の力」エピソードを投稿する→

 

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